「どこに刺せばいいの?」「あれ、半分しか白くならない……」
釣れた瞬間はうれしいのに、いざ締めるとなると手が止まる。初めての1杯だと、けっこう慌てますよね。
でも大丈夫。締め方は「目と目の間から、胴側と足側の2方向へ刺す」だけ。半分しか白くならなければ、色が残った側へ刺し直します。あとは袋に入れてクーラーで冷やし、氷や真水に直接当てなければOKです。
家から5分の堤防でも船の上でも、私がいつもやっている方法です。読み終わるころには、釣れた1杯を慌てずに締めて、きれいなまま持ち帰れるようになりますよ。
締める前に、置き場所と墨の向きだけ決めておく
イカの墨は、なめてかかると痛い目を見ます。服に付けばなかなか落ちないし、堤防に付いたまま乾けば、黒い跡がしっかり残ります。
なので私は、イカを置く前にバケツの水で地面を濡らしておきます。置く向きは、足が海の方。墨を吐いても、自分や道具、陸側に飛びにくくなります。周りに人がいたら、そっちに向けないのもマナーですね。

墨を先に吐かせておきたい時は、この向きのまま軽くつついて、海側へ吐かせることもあります。
ただ、墨を海へ飛ばしたいからといって、堤防の端ぎりぎりまで寄るのはやめておきましょう。足場のしっかりした場所で十分です。
地面に付いた墨は、乾く前にバケツの水でさっと流します。釣れた場所を墨跡で宣伝しなくて済む、という下心もちょっとありますが(笑)。まずは釣り場をきれいに、ですね。
アオリイカの締め方は「目と目の間から2方向」
締める位置の目印は、目と目の間。ここからピックを、胴側に1回、足側に1回刺します。
コツは「どこに刺すか」より、「先っぽをどっちに向けるか」で考えること。これだけで、ぐっと迷いにくくなります。

1回目:先端を胴側へ向けて刺す
目と目の間を目印に、ピックの先端を胴の方へ向けて刺します。私は足側から胴側へ、少し斜めに入れています。
うまく決まると、胴の色がすーっと白っぽく変わっていきます。これが1つ目の合図。
2回目:一度抜いて、先端を足側へ
胴が白くなったら、ピックを一度抜いて、今度は先端を足側へ。1回目とちょうど逆向きです。
目の周りから足まで色が抜ければ、締め完了。胴と足、両方を見るのがポイントです。
押さえる手は、ピックが進む先に置かないこと。イカはぬるっと滑るので、勢いあまって自分の手を刺さないように気をつけてください。
そもそも、なぜ白くなるの?
イカの体の色は、皮膚にある「色素胞」という小さな色の袋から出ています。この袋を周りの筋肉が引っぱって広げると、茶色が見える。その筋肉を動かしているのが、神経からの信号です(九州大学ほかの発表資料)。
締めて信号が止まると、袋が縮んで色がスッと引く。だから白っぽく透き通って見えるんです。徳島県水産研究所の資料でも、色素胞が縮んで白く透明になった個体を、〆が終わったものとして紹介しています。

ちなみに、締めた直後の白さと、時間がたって身が白く濁ってくるのは別もの。濁ってくるのは、鮮度が落ちてきたサインです。
半分しか白くならない時は、色が残った側へ刺し直す
胴は白いのに、足はまだ茶色い。あるいは、その逆。そんな時も慌てなくて大丈夫です。
見るのは「どっちに色が残っているか」だけ。
- 胴だけ白い → 足側へ刺し直す
- 足だけ白い → 胴側へ刺し直す
私は一度ピックを抜いて、色が残っている側へ先端を少し斜めに向け直しています。刺したままぐりぐり動かすより、抜いて向きを確かめた方がずっと分かりやすいですよ。
白いからといって、締まっているとは限らない
もうひとつ、ひっかかりやすいのがこれ。釣り上げた時点で、もう白っぽいイカもいるんです。
イカは自分で体の色を変えられるので、生きていても白っぽく見えることがあります。色だけで「締まった」と判断せず、胴側と足側、両方きっちり締めてあげてくださいね。
道具はピックが一番。ハサミもナイフもチョップも試したけれど

私が普段使っているのは、黄色いグリップのイカ締めピックです。
ピックを忘れた日には、先の細いキッチンバサミのようなもので締めたことが何度かあります。ほかにも、ダイワの魚締め用ナイフや、素手でのチョップ。いろいろやってきましたが、結局いちばんやりやすいのはピックでした。
ハサミで締める時も、目と目の間から2方向
やることはピックと同じです。目と目の間を目印に、胴側と足側の2方向へ刃先を入れます。私は刃先を少しだけ開いて使っていました。
これから道具をそろえるなら、まずはピックを1本。忘れた日は先の細いハサミで代用できる。そのくらいの気持ちで大丈夫です。
締めないとどうなる? 理由は墨と鮮度
生きたまま袋に入れると、中で暴れて墨を吐くことがあります。袋の中が真っ黒になると、後片付けがなかなか大変。
それに、すぐ締めるのは鮮度のためでもあります。長崎県総合水産試験場の報告では、すぐ締めたアオリイカと、水から上げて10分ほど空気中に置いたものを比べています。すぐ締めた方が、鮮度の目安になる成分(ATP)が多く残り、身の透明感も保たれていたそうです。
とはいえ、私は締めずに持ち帰って食べ比べたことはありません。それでも、釣れたらまず締める。これが私の毎回の流れです。
アオリイカの持ち帰り方|袋に入れてクーラーへ、氷と真水には当てない

締めたら袋に入れて、クーラーボックスへ。釣りを続けている間も、そのままクーラーで冷やしておきます。岸でも船でも、私の持ち帰り方は基本これだけ。拍子抜けするくらいシンプルです。
袋には2〜3杯ずつ。入れる前に墨を吐かせておく
私は、チャック付きの保存袋に2〜3杯ずつ入れています。
袋に入れる前に、できるだけ墨を吐かせておくのがひと手間。それでも袋の中で吐いていたことはありますが、そこまで汚れたことはありません。口はきっちり閉じて、破れていないかだけ確かめておきましょう。
釣り場で墨袋まで抜いて帰る人もいます。袋が汚れにくくなるのは、確かに利点。ただ、私はそこまでしていません。少しくらい墨が残っても、袋の中に収まっていれば十分です。
氷や溶けた水、真水に直接当てない
イカの身は、真水に浸かると水っぽくなったり、白っぽくなったりすると言われます。釣具店や船宿の案内でも、よく見かける注意です。
なので、イカは袋に入れたまま、袋越しに冷やします。私はいつもこのやり方で、水に浸かって身がダメになったことは一度もありません。
「冷やしすぎると白くなる」って本当?
調べていると、こんな話も出てきます。実はこれ、まったくのウソでもないんです。
アオリイカの身を0℃近くの氷・5℃・10℃・15℃で保存して比べた研究では、白く濁るのがいちばん遅かったのは10℃でした。
ただし、これは身を切り出して、温度をきっちり一定に保った実験の話。食中毒のことを考えると、魚介類は冷やすのが基本です。たとえば腸炎ビブリオという食中毒菌は、20℃を超えると活発に増え、4℃以下では増えないとされています(仙台市)。
私は温度を測ったりはしていません。袋に入れて、氷や溶けた水に直接当てない。これだけ守って、しっかり冷やして帰っています。
氷の量は、釣る時間と帰り道で考える
家の近くで釣ることが多い今は、凍らせたペットボトルを1本、クーラーに入れていくだけ。
尾鷲から大紀まで堤防を回っていた頃も、氷の量はそれほど変わりませんでした。必要になれば、コンビニや釣具店で板氷を買う。そんな感じです。
ただ、これはあくまで私の場合。家が近くても、釣りをしている間はずっとクーラーの中です。釣る時間、気温、クーラーの大きさ、釣れた数。このあたりで、必要な氷の量は変わってきます。
氷の量の目安は釣り用クーラーボックスの氷はどれくらい?ペットボトル氷の量と使い方、クーラーの大きさは釣り用クーラーボックスは何L?堤防から船まで4台使い分ける私のサイズ選びにまとめています。家に着いてからの保存や、捌く時の墨袋の扱いはアオリイカの保存方法へどうぞ。
まとめ|釣りに行く前に、ピックと袋をすぐ出せる場所へ
最後に、今日の話をまとめると、
- 締めるのは、目と目の間から胴側・足側の2方向
- 半分しか白くならなければ、色が残った側へ刺し直す
- 袋に入れてクーラーへ。氷や真水には直接当てない
この3つです。
それともうひとつ。釣れてからピックや袋を探し始めると、意外とバタバタします。イカを手に持ったまま探しているうちに、墨を吐かれた……なんてことにもなりかねません。出かける前に、ピック・保存袋・氷を入れたクーラー・水汲みバケツを、すぐ出せる場所に入れておきましょう。
ほかの持ち物は堤防釣りの持ち物チェックリスト、秋のアオリイカの釣り方は秋エギングの場所選びと基本の釣り方にまとめています。最初の1杯が釣れたその時、慌てずに締めてあげてくださいね。
